peopleinterview

片道1000kmの定期点検。
そこに「いのち」を守る
装置があるから。

神奈川県
サービスセンタ

上 あか里

Q01

カスタマーエンジニアとして5年の経験を持ち、
超音波診断装置を担当していますね。
日々の仕事内容などを教えてください。

   私は神奈川県サービスセンタに所属し、担当エリアは県内全域で、一部千葉県や東京都も対象としています。基本的な仕事はまず納入に関する一連の作業があります。準備から搬入、据付、取扱説明、保守契約提案、お客様の運用に合わせた設定変更、ネットワーク接続確認を行います。
   その他の仕事としては、日常の点検と緊急時の対応があります。緊急時の対応はオンコールで解決できるケースもありますが、それが難しい場合には訪問修理を行います。最も大切にしているのは、「お客さまのもとに1秒でも速く駆けつけ、1秒でも速く装置を復旧すること」。装置は患者さんの「いのち」を守るためのものですから、つねに迅速な対応が求められます。
   万が一の場合に備え、安心を支えるために、キヤノンメディカルのサービス体制には、365日24時間対応のコールセンターがあり、さらに、北海道から沖縄まで全国69カ所にサービス拠点がネットワークされています。緊急時にはこの拠点から高い技術を持つカスタマーエンジニアの仲間がお客さまのもとへ駆けつけます。
   女性のカスタマーエンジニアは、まだ珍しく、訪問した施設で「娘を理系女子にするにはどうしたらいい?」「どういう学校へ進んだらそういう仕事ができるの?」と聞かれることが多くあります。カスタマーエンジニアは、知識と技術を身につければ性別は関係ありません。キヤノンメディカルには育児と仕事を両立されている女性の先輩もいて、「この仕事は女性がずっと続けていけるんだ」と私も励みにしています。

Q02

「いのち」を守る装置を、守る。
定期点検・修理では、1000kmを超える離島の
医療施設にも足を運んでいますね。

   神奈川県サービスセンタを包括する首都圏支社全体の担当エリアには、小笠原諸島の父島・母島も含まれていて、先日、私も定期点検に行きました。片道約1000km、24時間の船旅です。今回は点検道具に加え、装置の不調に備えた修理部品を持参し、スーツケース・ダンボール・リュックサックという大荷物になりました。定期船は週1便だけなので「あの部品も持ってくればよかった」といったことがないよう、入念な準備が求められます。
   父島と母島には診療所が1軒ずつあり、それぞれ島民の健康診断や検診が行われています。超音波診断装置による妊婦健診も実施され、出産を控えた妊婦さんの健康と安心に大きな役割を果たしています。島のみなさんの「いのち」を守るために私たちの装置が役立っている。そう感じると点検や修理に一層の力が入ります。
   また、実際に装置を目で見て点検する中で、今回は未然に対策すべき箇所も発見でき、部品発注などの早期対応につなげることもできました。「お客さまの元へ足を運び、装置をよく観察する」。入社以来、教わってきたサービスの基本とその重要性を再認識しました。
   ━━━こうお話しすると「緊張がずっと続く仕事?」と思われがちですが、仕事を終えると余裕があり、今回は宿泊したペンションのお客さんたちと星を見に出かけました。天の川がくっきり見えて、すごくきれいでしたね。じつは、次回の出張も「私に行かせてください!」と立候補しています。

Q03

医療スタッフの方々と直に接する日常の中で、
経営スローガンMade for Lifeを
意識する場面はありますか。

   私はもともと工業高専で電子工学を勉強していて、医療関係の企業に就職を希望していました。授業で医療用ロボットについて学んだことや親しい人の通院などをきっかけに、「いのち」を守る医療現場を支える仕事に就きたいと考えていたからです。
   超音波診断装置の知識や技術の修得は入社後にしっかりとした教育システムで基礎から学び、不安はありませんでした。お客さまとの接し方は最初の約1年間、先輩に同行して覚えますが、その間に何度も「すごい!」と感じたのは、先輩たちのコミュニケーション能力の高さと姿勢、お客さまとのより良い関係づくりです。入社から5年が経ち、今は根底に「Made for Life 患者さんのために、あなたのために、そして、ともに歩むために。」という想いがあるのだと理解しています。

   装置の故障はタイミングによっては患者さんに迷惑をかけてしまい、先生やスタッフの方がご立腹なさっているケースもあります。けれど、多くの現場では、修理が済む頃には笑顔で「ありがとう」と言ってくださる。それは新人の私には魔法のように見えました。上司や先輩には、「まず、先生のお話をよく聞いて」「装置を直すだけじゃなく、先生のお気持ちも直すぞという心構えで」と教わりました。1秒でも速く駆けつけ、装置を復旧させ、誠意ある姿勢でお客様と向き合い、一刻も速く診療に集中していただけるように務める。技術の高さはもちろん、現場の人々の気持ちや考えを知り、心を込めてサービス活動にあたるからこそできることで、結果的に患者さんの笑顔にもつながります。「装置の先には患者さんがいる。カスタマーエンジニアは装置を直すだけではないんだ」と強く思います。